辛くてたまらない。
心の支えは、姉の夢を叶えたいという思いだった。
家族で住める家を建てたい。生前、姉は強く願っていた。
私が欲しい訳でもない、ましてや両親が欲しているわけでもない。そんなもののために、いったい何を苦労しているんだろうと、時々、初心を忘れてしまう。いけないいけない、そう思ってきた。
でも、私は、本当に姉の夢を叶えてあげらているんだろうか。姉の夢は、家族で住める家だった。でも、両親は、そこに住まないと言っている。家を建てるだけなら、姉にも出来たはずなんだ。本当に姉が欲しかったものは、囲んでくれる家族だったのだと、今になって気づく。
私は、姉の夢なんか叶えてあげられていない。
虚しいものを作っているだけだ。
姉の思いを叶えようとすることで、なんとか今まで生きてこられた。そう、それは、倒れそうな弱い自分を支える手段でしかなかったんだ。
ただ、私は、姉がいなくなって、さみしかっただけなんだ。何かにすがっていたかったんだ。
家は、それを埋めてはくれない。傷をえぐるだけだということを、今日、着工を迎え、思い知った。